東大卒エンジニアが語る雑談録

日々感じたことを語っていきます。

カメラを止めるな! 「予想外」が巻き起こすどんでん返し

今年もついにあと1ヶ月となりましたね。

今月は出張が2つも控えていて、今日明日ブログを書いたら次は年末となりそうです…とはいえ先月1回も書けておらず、何をやっているんだか…

さてさて先月飛行機内で話題の映画を見てきたので、感想を書きます。ネタバレありなのでまだ見ていない方は「ここからネタバレ」からお読みにならないように。

俺個人としてはここ2、3年で見た中で一番面白い映画でした!!

 

カメラを止めるな!

郊外のとある廃墟にて、陳腐なゾンビ映画を撮影していた監督は、ヒロインの演技にリアリティが欠けており、納得いかず何回も撮り直しをしていた。休憩時間に、ヒロインは、ゾンビとなってしまう彼氏と、メイクさんと雑談をしていると外から物音がする。そしてスタッフの千切れた右腕が飛んでくる。

はじめは映画の小道具かと思っていたがスタッフが飛び込んできて死んでしまったのを見て、パニックに。そしてゾンビ化した別のスタッフが!なんと監督は本物のゾンビを連れてきて撮影し始めたではないか!「撮影は続ける!カメラは止めない!」リアリティを追求しすぎて狂ってしまったのであろうか、監督は!?

メイクさんはここがいわくつきの実験設備であると説明する。次々と皆がゾンビになる中、ヒロインたちは逃げ続けるが、ヒロインには怪我が…ヒロインもゾンビ化することを恐れたメイクさんはヒロインを抹殺しようと狂人に。監督は撮影続ける始末。そしてついに彼氏もゾンビに…

ヒロインは絶望し、ゾンビも人も皆殺しにしてしまい、バッドエンドとして映画は終わり、スタッフロールが流れ始める…

 

 

―ここからネタバレ―

 

ゾンビ映画を撮る数週間前のこと、監督は「質はそれなり、でも安く早く」をモットーに掲げるドキュメンタリーの再現映像等を撮影する仕事をしていた。そんな中知人に、「一発撮り、ノーカットでゾンビ映画を生中継しないか?」と持ち掛けられる。そんなものは無茶苦茶だと断ろうとするが結局引き受けることに。

俺はここで、「ああ、それで無茶しようとしてゾンビを生き返らせたのか。それはちょっとつまらん映画だな」と思ってしまいました。実はそうではなく「狂った監督がゾンビ生き返らせた映画」を撮影する、という内容が脚本に書かれており、台本読みが始まったのを見てようやくこの映画の趣旨を理解しました。実はこの映画は「ゾンビ映画を撮ろうとしたら、ゾンビが蘇り、最終的にヒロインが皆殺ししてしまった」という映像を、慣れない監督をはじめ、個性的な俳優やスタッフたちが、いかにして作成したかという映画です。(複雑です)

個性的な、と先に書いてしまいましたが、以下のような面々で監督も先が思いやられるといったストレスをずっと抱えて撮影に臨みます。(実はこれも伏線)ヒロインは清潔さを売りにしたいのかゾンビ映画だけど汚れたくないと主張し、彼役の俳優はゾンビの行動性がおかしいなどケチをつけ、監督役とメイク役はイチャイチャしだし、音声役は水にこだわり体が弱いと主張し、カメラ役はアルコール中毒者、というめちゃくちゃな面子です。

しかし、このスタッフ陣がそろった時点で観客はこう思うはずです。

「あれ?冒頭の映画での監督は、この監督自身だった」「メイク役も違った(監督の奥さんだった)」「ヒロインと彼ってもっと真剣に映画に取り組んでいたような…」

そう。実は当日トラブルがあり、配役を変えることになったのです。(これがまた伏線)そしてさらなる伏線が、後半から登場した、映画監督志望をしている監督の娘。年頃なのか父親の安い映画作りには少々反対しており、真剣さを求める性格です。

なんだかんだで本番がスタートし、生中継で止められない映画作成がスタート。その中でも数々のトラブルが発生するのですが、監督や娘、俳優陣やスタッフが機転を利かせて最後までカメラは途切れることなく撮影は終了!それが一番初めのゾンビ映画

この映画の観客は一番初めに通しでゾンビ映画の方を見ているので、このシーンはそういう理由だったのか、と納得する場面が出てきます。ここから先は実際に映画を見てぜひ真相をあなたの目で確かめてください。俺が前編でちょっと気になっていたのは「なぜあのとき3人は不自然な視線を向けていたか」「なぜカメラが途中地面にあったのか」「ヒロインが隠れている間に近くにいた人物は何者なのか」で、前編のゾンビ映画中はこれも演出なのかなと勝手に思ってしまいましたが、それはこの映画の監督にしてやられたという感じです。

最後の星マークの撮影シーンは個人的にツボで飛行機の中で大笑いしてしまいました。(とはいえ頑張って声を押し殺していたのでフヒヒという笑いだったと思います…なんだこいつはと思われただろう…隣が空席でよかった)

この映画が凄いのは、ゾンビ映画の方は本当にノーカットで作られていること。映画を撮影しながらその中で作っている作品にも気を配るのは本当に綿密な脚本、緻密な撮影計画があったんだろうと思います。

また、前編とは打って変わり全体を見ると、家族の絆やスタッフたちの努力が描かれているという他にも、カメラを通してみる世界の裏は実はこんなに大変なことがあるんだぞ!というモチーフがあることに気が付かされました。さらには、壮大なCG映像なんか使わなくたって、豪華な俳優陣がいなくたって、面白い映画は撮れるんだぞ!と映画業界に一石を投じる作品でもあると感じました。

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